魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 訓練試合の後、必死な顔で俺を追いかけて来た彼女を強く突き離し、背中を向けた。

(なんて言ってやればよかったんだろうな……)

 もっと優しく、波風の立たないように彼女を遠ざけるやり方もあったのかもしれない。でも俺にはその余裕がなかった。どうにかして自分の感情を抑え込むだけで精一杯だった。

(恥ずかしいもんだ。大人になり切れてねーのは俺の方じゃねーか……)

 そして今も……俺は自分からシルウィーの護衛に付くように命じたにもかかわらず、気兼ねなくあいつの側にいられるルシドに嫉妬を抱いている。

 シルウィーとの関係を断つと決めておきながら、彼女を求める気持ちを自分の中から消しきれない。あいつの顔を見る度に未練が込み上げて、どうにかなってしまいそうになる――。



『――お兄様、本当にシルウィーお姉様とは、あのままで構いませんの?』
『なにか問題があるか?』
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