魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
すでに建物の前は、たくさんの招待客たちで賑わっている。スレイバート様は物怖じせずにそちらに向かうと、優雅に微笑みながら手を振り健在さをアピール。一方で、私といえば自然な表情すら保てていたかどうか。仕方ない……これはある意味、初めての私の社交デビューと言えるかもしれないのだから――。
このラッフェンハイム帝国では広大な国土に管理を行き届かせるため、大貴族が持つ領地は分割され、傘下の小貴族たちが部分的に統治を受け持つ風習がある。なのでこの地はいわば、ボースウィン領下イシュボア侯爵統治区、とでもいうことになるだろうか。
そしてなぜそんな場所に私が連れられることになったか……それは、少々私自身が大っぴらに活動し過ぎたことが原因にあった。商売のついでにあちこちで瘴気を払ったことで、聖女であるとかいう噂が、必要以上に広まってしまったみたいなのだ。
スレイバート様も幼いころからお世話になった現イシュボア侯爵はすでにご高齢。病もいくつか抱えているとかで、今回のお目見えは彼の引退を期に、健康を取り戻したスレイバート様と共にボースウィン領を救った聖女として顔見せし……心安らかに老後を暮らさせてあげたいと、そんな配慮のためなのだとか。
本当はそんな大それたお願い断わりたかったけれど、だってクラウスさんったら、菓子折りと共に訪れたかと思ったら、「余命いくばくもない老人のために……なにとぞ!」なんて涙を浮かべて頼み込んでくるんだもの……。断れるわけがなく、こうしてお城で色々着飾らせられ、お店を閉めて急遽こっちへ向かうことになったのだった。
このラッフェンハイム帝国では広大な国土に管理を行き届かせるため、大貴族が持つ領地は分割され、傘下の小貴族たちが部分的に統治を受け持つ風習がある。なのでこの地はいわば、ボースウィン領下イシュボア侯爵統治区、とでもいうことになるだろうか。
そしてなぜそんな場所に私が連れられることになったか……それは、少々私自身が大っぴらに活動し過ぎたことが原因にあった。商売のついでにあちこちで瘴気を払ったことで、聖女であるとかいう噂が、必要以上に広まってしまったみたいなのだ。
スレイバート様も幼いころからお世話になった現イシュボア侯爵はすでにご高齢。病もいくつか抱えているとかで、今回のお目見えは彼の引退を期に、健康を取り戻したスレイバート様と共にボースウィン領を救った聖女として顔見せし……心安らかに老後を暮らさせてあげたいと、そんな配慮のためなのだとか。
本当はそんな大それたお願い断わりたかったけれど、だってクラウスさんったら、菓子折りと共に訪れたかと思ったら、「余命いくばくもない老人のために……なにとぞ!」なんて涙を浮かべて頼み込んでくるんだもの……。断れるわけがなく、こうしてお城で色々着飾らせられ、お店を閉めて急遽こっちへ向かうことになったのだった。