魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そうしてがくりと気を失ってしまう。けれど、おかしいと思うのは私だって同じだ。こんな誰にも必要とされなかった女に大金叩いて、命懸けで助けに来て……この人こそ、バカみたい。

「ありがとう。助けてくれて」

 でも、嬉しかった……。少しだけ救われた気持ちで私は力が抜けて重い彼の身体をぎゅっと抱きかかえると、どうか無事でと祈る。
 そうしていると、後ろから熱風と共に赤い光が迫って――……。


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