魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……ったく、夫になる男の名前も知らないのかよ。……スレイバートだ。スレイバート・ボースウィン。俺は、お前を知ってるぞ。シルウィー・ハクスリンゲン。ずっと待ってた……お前が、ここに来てくれるのを」
「えっ……?」
まさか結婚相手――それも公爵様自らがこんなところに来ているなんて思いもよらず、どういうことなのかと私は目を見開く。
「……スレイバート、様」
「それが俺の名だ。覚えてろ、シルウィー」
震える声で彼の名前を呼ぶと、彼もまた、私を呼ぶ。
なんとも、不思議な感覚だ。
誰かからこんな風に名前を呼ばれたことのなかった私の口元が緩む。それを見ると、スレイバート様はびっくりしたように眉をピクリとあげ、口の端を上げた。
「はっ。これから死ぬって言うのに、おかしな、やつ……」
「えっ……?」
まさか結婚相手――それも公爵様自らがこんなところに来ているなんて思いもよらず、どういうことなのかと私は目を見開く。
「……スレイバート、様」
「それが俺の名だ。覚えてろ、シルウィー」
震える声で彼の名前を呼ぶと、彼もまた、私を呼ぶ。
なんとも、不思議な感覚だ。
誰かからこんな風に名前を呼ばれたことのなかった私の口元が緩む。それを見ると、スレイバート様はびっくりしたように眉をピクリとあげ、口の端を上げた。
「はっ。これから死ぬって言うのに、おかしな、やつ……」