魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「どうかしたか?」
「……いえ」

 勘違いで、誰かの落とし物を間違えて渡されてしまった。スレイバート様も丁度お知り合いの方々と話が弾んで、見ていなかったみたい。
 困ったものだ。私のものではないからといってその場に捨てるわけにもいかないし、持ち主を探して返さないとと思うのだが……。

 しかし、もうパーティーも始まりそうで、こんなところで立ち止まってもいられない。私は帰りにでも屋敷の人に預かってもらおうと、それをドレスの小物ポケットに挟み込む。

 そして呆れ顔で止まって待ってくれていたスレイバート様に頷きかけると私は……不思議な出来事に戸惑いながらも、お屋敷の入り口を潜っていくのだった。



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