魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「じーさんはいつでも大人気だよなぁ」

 そんな風にスレイバート様は呟くと堂々と近づいてゆき、それに気付いた参加者たちが左右に道を開けてくれる。やがて……その奥で私はどっかりと座った貫禄ある老人を目にした。

「よう、クリム爺。一段と老けちまったな」
「うるさいわい。この悪ガキが……何年ぶりじゃと思うとる」

 軽く手を上げとんでもなく失礼なことを言ったスレイバート様に言い返すと、その老人――クリム・イシュボア侯爵はカッカッと大笑いし、座ったまま私たちを招き寄せた。

 かなりの高齢なのに、大柄で立ち上がればスレイバート様と同じくらいの背丈がありそう。白い髭を口の周りに蓄え、横幅も大きくて迫力がある。騎士というより戦士、といった方がしっくりときそうな、そんな豪快そうなイメージの人物だ。

「このじーさんが、イシュボア侯爵。ここいらの貴族をまとめて、国境線の防衛を長い間任されてきた御大だ。クリム爺、こいつが例の聖女と名高いシルウィー・ハクスリンゲン。俺の呪いを解き、ボースウィン領に平穏をもたらした立役者だな」
「シ、シルウィー・ハクスリンゲンと申します。どうかお見知りおきを」
「おお、お主がそうか……」
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