魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(お、落ち着こう。落ち着かないと……)
初めての感覚に、お腹まで痛くなってきたようで……私は同じように廊下に出ていた人々にぺこぺこと頭を下げながら、人気のないところを目指して進んでいった。
気分が悪く、首筋に汗まで浮かんできて、それを拭おうとドレスの裏ポケットから取り出したハンカチを見て、私はハッとする。
(あっ……そうだ。これ、返さないといけないんだった)
それは私のではなく、お屋敷に入る前に見ず知らずの男性から押し付けられたものだった。
自前のものを取り出して汗を拭いながらも、私はとりあえず目の前の出来事から気持ちを逸らすのに丁度いいかもと、その預け主を探して回ることにする。
別に屋敷の使用人たちにお願いして持ち主を探してもらってもよいのだけど、結構な数の招待客にひとりひとり聞いて回るのも手間だろう。現場にいた赤い髪の男性なら、落とし主の心当たりくらいはあるかもしれない。
元々本命はこの陰鬱な気分を変えたかっただけなので、それほど気負わず私は、コソコソと目立たないように屋敷の中を探索し始めた。
目的ができたことでわずかに気は楽になったが、先程の回廊を通り、いくつか分岐した道を辿っても、お目当ての男性はなかなか見つからない。
初めての感覚に、お腹まで痛くなってきたようで……私は同じように廊下に出ていた人々にぺこぺこと頭を下げながら、人気のないところを目指して進んでいった。
気分が悪く、首筋に汗まで浮かんできて、それを拭おうとドレスの裏ポケットから取り出したハンカチを見て、私はハッとする。
(あっ……そうだ。これ、返さないといけないんだった)
それは私のではなく、お屋敷に入る前に見ず知らずの男性から押し付けられたものだった。
自前のものを取り出して汗を拭いながらも、私はとりあえず目の前の出来事から気持ちを逸らすのに丁度いいかもと、その預け主を探して回ることにする。
別に屋敷の使用人たちにお願いして持ち主を探してもらってもよいのだけど、結構な数の招待客にひとりひとり聞いて回るのも手間だろう。現場にいた赤い髪の男性なら、落とし主の心当たりくらいはあるかもしれない。
元々本命はこの陰鬱な気分を変えたかっただけなので、それほど気負わず私は、コソコソと目立たないように屋敷の中を探索し始めた。
目的ができたことでわずかに気は楽になったが、先程の回廊を通り、いくつか分岐した道を辿っても、お目当ての男性はなかなか見つからない。