魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
すると、彼女はほっとした様子で、元の半分くらいの長さになってしまった黒髪を小さく摘まんで笑いかけた。その仕草に、せっかく落ち着きかけた心臓が刺激され、激しく早鐘を打つ。
「くっ……早く行くぞ!」
「え、急にどうしたんです!? そんなに、お腹が空いていたんですか……!?」
俺の不審な挙動にきょとんとするシルウィー。しかし、予想だにしないカウンターのせいで赤くなったこんな顔、領主として見せられるわけがない。それでも、シルウィーが転げないようにだけは気を遣いながら――俺は彼女の身体をぐいぐいと引っ張っていく。
「――あの調子では、閣下が主導権を取れる日は、まだまだ遠そうですねぇ――ねえテレサ様?」
「お兄様ったら、なっさけないの。ここからは、お姉様の頑張りに期待したいところかしらね」
……扉の隙間を静かに開け、執務室のソファの裏に隠れていたテレサとクラウスがこそこそと、そんな俺達の姿ににやついていたとは露知らず。
シルウィーの新たな一面を見て、俺は未だ、浅瀬で藻掻いていただけだったのだと思い知る。
どうやら……俺が本気でこいつの魅力にハマるのは、まだまだこれからだったみたいだ。
(~第三部へ続く~)
「くっ……早く行くぞ!」
「え、急にどうしたんです!? そんなに、お腹が空いていたんですか……!?」
俺の不審な挙動にきょとんとするシルウィー。しかし、予想だにしないカウンターのせいで赤くなったこんな顔、領主として見せられるわけがない。それでも、シルウィーが転げないようにだけは気を遣いながら――俺は彼女の身体をぐいぐいと引っ張っていく。
「――あの調子では、閣下が主導権を取れる日は、まだまだ遠そうですねぇ――ねえテレサ様?」
「お兄様ったら、なっさけないの。ここからは、お姉様の頑張りに期待したいところかしらね」
……扉の隙間を静かに開け、執務室のソファの裏に隠れていたテレサとクラウスがこそこそと、そんな俺達の姿ににやついていたとは露知らず。
シルウィーの新たな一面を見て、俺は未だ、浅瀬で藻掻いていただけだったのだと思い知る。
どうやら……俺が本気でこいつの魅力にハマるのは、まだまだこれからだったみたいだ。
(~第三部へ続く~)