魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「あぁ、そういうことな」

 エルマ様は、アルフリード様の後妻でありテレサの実母、スレイバート様からすれば継母にあたる方だ。
 こちらの気候が肌に合わないというので、子育てを放棄し実家のある領地に戻ってしまったというが……意外にもテレサとはその後も良好な関係を続けているのだとか。

 恒例の贈り物が届かないことを不審がったスレイバート様は、カツッと苛立たしげにペンをテーブルに打ち付けた。

「あのおばさん、テレサのことだけは猫可愛がりしてやがったはずなんだが……。なあ、あっちの方――リュドベルク領でなにかあったとかは?」
「今のところ、領境近辺の衛兵から、目立った報せは来ていません。ご心配であるのなら、詳しく調べさせておくか、ご本人へ手紙をお送りしますが……」
「そうだな……神経質になりすぎるのもなんだが一応家族だ。念には念を入れとくか。ってことで、なんでも悪い方向にばっか考えて、辛気臭くしてても仕方ねー……」

 最近多かった不測の事態に区切りを付けるよう締めくくると、彼は鋭利な顔立ちを緩め、こちらへと向けた。
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