魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そうして――約二日後にミレッザの街に辿り着くと、私たちはまず街の治療院へと向かう。

「やっぱり兵士や傭兵っぽい人の姿が多いみたいね」
「でも……街の人の表情からすると、大分緊張は解けていますし、そんなに大きな被害が出ていないようでよかった。とはいえ、手厚く見舞って差し上げないと」

 どうやら、先日の襲撃で一度は結界が壊されたらしいが、街の有志たちの奮戦と、応援に駆け付けた兵士たちにより、なんとか撃退に成功したということだ。

 テレサが心配そうに街の様子を見やりながら、包帯を巻いた怪我人や時折見える建物の破壊跡にそっと息をつく。ここでも彼女は大人気で、護衛が前後左右を挟み込んでいるにもかかわらず、たちまち人だかりができて、動きづらくなる。

 それでもテレサは街の人を元気付けようと、文句も言わず微笑みながら手を振り、優しい言葉や握手で労う。それは、領主がこの街のことをちゃんと気にしているのだというアピールとなり、恐怖で傷付いた人々にとって、大きな安心感を与えたようだった。

 やがて私たちは街で随一の広さを持つ治療院に辿り着くと、そこの院長である女性と顔を合わせた。
 きっちりと髪をまとめた厳しそうな方だったけれど、そんな彼女もテレサの姿を見ると諸手を挙げて歓迎してくれる。
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