魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 だから私は、手を伸ばすように、ここにいる人達は敵ではないのだと彼に訴えかける。

「ラルフさん。確実なことは言えないけれど……もし誰かが危険に晒されているのなら、事情さえ話してもらえれば、できるだけの協力はします。だからお願いです……。あなたがそうまでして動かなければならなかった理由を、私に教えてくれませんか?」
「お前なんかに……なにが分かるってんだ」
「分からないから、分かろうとしてるんじゃないですか」

 私は、テレサから預かっていた残り少ない魔力で、クラウスさんに痛めつけられた彼の傷を癒した。その後も、彼は悔しそうにずっと唇を噛み締めていたが、ある時、観念したように口を開きだす。

「信用したわけじゃねぇ。だが……他にもう手立てがねえんだ。どうせなら洗いざらい話してやる――」

 依然として、彼からぶつけられる憎しみが消えたわけではなかったけれど。

 少し頭が冷えたのか、起き上がった彼は再び椅子の上に座り込むと、尖った目付きでテーブルを見つめ……どうして私たちに敵対するに至ったか、その経緯を話し始めた。
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