魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 なにせ、そこの院長のババアは、ひでえ業突く張りでさ。この領地から貧しい民のために支給される援助金を着服し、しこたま自分の懐に溜め込んでやがったんだ……。

 時折よこされる役所の人間にも賄賂を渡すことで誤魔化しやがって、ろくに飯も用意してもらえないおかげで、オレら子供たちはどいつもこいつも痩せっぽちのガリガリ。服も何日着替えてねえのか分からねえようなぼろぼろのやつばっかで、そこらの浮浪者の方がまだ、よっぽどましな暮らしをしてるだろうと思ってたくらいさ。

『……クク、こいつはもうだめだね。病院(・・)に連れて行ってやるよ。お前らは、ここで静かにしてるんだ』
『ま、待ってよ! まだそいつは……』『うるさいッ――』

 病気だけは怖かったな……。医者に見せると言ったきり連れられていった兄弟は、誰ひとりとして帰ってくることはなかったから。他に行く当てなんてあるわけないのに……。

 やつらにとってきっと俺らはただの金ヅルで奴隷だった。子どもがいなきゃ孤児院としての形は成り立たねえ。逃げ出そうとしたやつらなんかは懲罰房に閉じ込められて、二度とそんなことを起こさないようにひどい折檻をされるんだ。だから、みんな死んだような目をして、毎日床に寝そべって静かにしてた。この生活から抜け出そうと夢見る気持すら持ちようがなかったんだ。

『へへ……こいつが今回の代金だ。またよろしく頼むよ』
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