魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ど、どうにかならないんですか! ラルフさんの話では、このままじゃリュドベルク領がボースウィン領の二の舞になってしまうかもしれないんでしょう!? そうだ、私が直接リュドベルク城に向かって、カヤさんの呪いを取り込んで来ます! もしかしたら、スレイバート様の時と同じで、どうにかなるかも……」
「あのね……そんなことさせられるはずがないでしょう!」

 しかしそれはクラウスさんに一喝のもと却下されてしまう。

「そこの彼の話が真実ならば、妹さんが呪いを受け……領地で異変が起き始めてから二週間以上は経つ。領内にどんな変化が起こっていても不思議じゃないんです! そんなところにあなたを送り出すわけにいかないでしょうが! 今、我々ができることは状況の確認と、適切な支援の計画を練ることだけです」

 それを聞いた私が……それでもともう一度頼み込もうとし、ラルフさんの『なんで、あいつだけが掬われねえんだよ!』という叫びが響き渡った時だった。

「おい、どうなってんだ!」

 留置所の扉が大きな音を立てて開く。そして、その場に飛び込んできたのは――。
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