魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「てめぇ……人の婚約者に一度ならず二度までも! 覚悟はできてんだろうな!」
「うぐっ……がっ!」
「ちょっと……スレイバート様! ダメ、やめて! 彼にも、事情があったんです!」
「お前は黙ってろ!」

 完全に激昂したスレイバート様は、私の言うことも聞いてくれず、薄暗い室内に鈍い殴打音が響き渡る。

 そして、なんとか兵士たちとクラウスさん、私の四人がかりでそれを止められたのは……顔をぼろぼろに腫らしたラルフさんが、物言わぬ姿で地面に倒れ込んだ後だった。
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