魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『ま、まさか……』

 スレイバート様が知らせた内容に青ざめ、私はもしやカヤさんの身に宿る呪いが災いとして解き放たれてしまったのかと戦慄した。

『おかげで、領境付近は魔物の被害から逃げて来た難民で溢れてるらしい。クラウス、お前は今すぐ急いで城に戻り、兵士たちを動員して領境を監視させろ。ことによっちゃこっちにも影響が出てくる』
『それは構いませんが……。ん……ちょっと待ってくださいよ? まさか閣下、このままリュドベルク領に向かうなんて言いませんよね?』

 嫌な予感を感じたような表情で、クラウスさんが声を上ずらせた。すると、スレイバート様は険しい顔そのままで言う。

『そのまさかだ。あっちにはエルマおばさんがいんだろ。ここまで来ておいて、身内の安否を確かめねーで帰ることはできねえ。テレサのことを思うと余計な』
『……いや、お気持ちは分かりますがね! しかしまずはご自身の安全を配慮なさるべきでしょ! そんなにエルマ様の安否が気になるなら、私が行きますよ……!』

 食って掛かったクラウスさんをスレイバート様は押し止めると、恐ろしい事実を明かした。
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