魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 たかが17の小娘だ、未熟なのはどうしようもない。

 でも、実家にいた頃は、少なくとも自分の責任を前にして、逃げ出したりしないくらいの気構えはあると思っていた。それがこれでは、ほんのささやかにあった令嬢としてのプライドなんてものも形無しだ。

 安全地帯に辿り着いて気が緩んでしまったなんて言い訳はきかない。私より年齢の低いのに、自分を見失わず頑張っているような子もいるのだからと、ぴしゃりと頬を叩いて気を引き締める。

「しっかりしなきゃ……!」
「――おはようございます、シルウィーお姉様」

 そこで噂をすればというように、扉から銀の髪の少女が顔を覗かせた。

「ご加減はいかがですか? よく眠れたのならよかったのですけど……」
「おはようテレサ。お蔭様でだいぶいいわ。ごめんなさい、あなたばかり働かせて」
「いいえ。大切なお客様ですもの」

 そう言ってくれる彼女こそが、本来ならお世話される身分なのに。
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