魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 私も少し肩の力を抜くと、もう片方のベッドに腰を落ち着け、息を吐き出した。
 エルマ様の無事が確認できたとはいえ、リュドベルク領の先行きは明るいものではない。それに……どうしても私はまだ、諦めきれていないことがある。

 カヤさんのこと……。

 エルハルトさんからあんな話を聞いた後でも……ラルフさんの悲痛な叫びが、まだ頭の中に残っている。
 もしかしたら、今も呪いに飲み込まれた彼女が、誰にも看取られないままあの城で救いを待ち続けているのかもしれない、そう思うと……。

 その内に作業が終わったのか、スレイバート様がごろんベッドの上に寝転がると、目を閉じて言った。

「エルマが無事だったのは幸運だったな。これでテレサも納得して帰るだろ……。シルウィー、俺は明日からしばらくエルハルトと行動を共にして、リュドベルク領の復興に手を貸すつもりだ。お前は…………そうだな、できればしばらくはこっちについて、以前みたいに瘴気を取り込んで回り、人々の安全を確保してやって欲しい。頼めるか」
「はい……それはもちろんです」

 今は大きな不安に包まれているリュドベルク領の領民達も、安全地帯があると分かれば、大分気持ちは落ち着くはず。
< 588 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop