魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
ひどく順当な作戦。現地の人たちと協力して、瘴気を払い魔物を退け、時間を掛けてひとつずつ段階を踏むようにリュドベルク領をもとの形に復興していく。
スレイバート様が付いている限り、私の身にも危害が及ぶことはそうそうないはずだし……確実で無理のない、百人いたら百人誰もが思う、正しいやり方。大人しく従っておくべきだと、頭では理解している。
ただ一点……。忘れ去られたように領地の中央に残り続ける、災いの源と成り果てたかつての栄華の象徴――亡き領主の居城をずっと無視していられるのならば……。
(それしか……ないのかな)
でも、その疑問を口に出してはいけない。
言い出したが最後、どう転んでもスレイバート様に大きな苦痛を与えてしまうだろうからだ。彼は、ボースウィン領の領主で、本来この地のことに深く関わる必要のない人間なのだ。そんな人に、これ以上向き合わなくていい負担を、抱えさせたくない――。
「も、もう寝ますね。おやすみなさい」
私は無理に笑顔を浮かべてシーツの下に身体を滑りこませようとした。
スレイバート様が付いている限り、私の身にも危害が及ぶことはそうそうないはずだし……確実で無理のない、百人いたら百人誰もが思う、正しいやり方。大人しく従っておくべきだと、頭では理解している。
ただ一点……。忘れ去られたように領地の中央に残り続ける、災いの源と成り果てたかつての栄華の象徴――亡き領主の居城をずっと無視していられるのならば……。
(それしか……ないのかな)
でも、その疑問を口に出してはいけない。
言い出したが最後、どう転んでもスレイバート様に大きな苦痛を与えてしまうだろうからだ。彼は、ボースウィン領の領主で、本来この地のことに深く関わる必要のない人間なのだ。そんな人に、これ以上向き合わなくていい負担を、抱えさせたくない――。
「も、もう寝ますね。おやすみなさい」
私は無理に笑顔を浮かべてシーツの下に身体を滑りこませようとした。