魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「へへっ、まーまーいいじゃねえかよ。飯なんてのはさ、細かいこと気にしてちゃうまく食えねえだろ。なにせオレ、三日もほとんどなにも口にしてなくてさあ……このままじゃぶっ倒れちまう。今後のことも考えて、ちったあ体力補給させてくれよ」
「けっ、調子のいいやつだ」
「まあまあ……」

 気に入らん、といったふうにスレイバート様がテーブルに肘をつき、私もサラダ類などを取り分けながらなだめた。この辺りは魔石店での暮らしによる経験が生きている気がする。人生なんでもやっておくものだ。

「はい、ラルフさんもどうぞ」
「おっ、ありがとな」

 スレイバート様にサラダの器を渡し、彼にも新しく盛りつけた分を回すと、ラルフさんはにかっと笑った後、やや照れて言った。

「ところで……あんたのこと、なんて呼んだらいいかな。ハクスリンゲン侯爵令嬢なんていうのは、さすがにちょっと長ったらしいし……シルウィーさんって、名前で呼んでもいいのか?」
「はい、それで。なんなら別に、呼び捨てでも――」
「却下」
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