魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 リュドベルク城で私たちにどんな運命が待っているかはまだ分からない。
 だけれど……辛いことを受け入れ前に進もうとしているラルフさんを始めとした、この領地の人々たちに、たとえ一筋でも祝福の光が届いてくれることを、私は願う。

「よっしゃあ! んじゃ最後にっ、成功を祈って景気よく乾杯だぁ!」
「誰がするか、バカ赤髪!」

 勝手にビールまで頼んでジョッキを掲げたラルフさんにスレイバート様が、ドンとテーブルを叩く。

「まあまあ、いいじゃないですか」

 私はそんな彼にグラスを握らせると、無理にでもとちょっとだけ腕を上げさせて……三つの杯が合わさり、涼やかな音を立てる。

「呪いを解くため、私たちで全力を尽くしましょう!」
「ん~……」「おう!」

 いつまでも不満そうなスレイバート様と、快活にはしゃぐラルフさん、それと苦笑いの私。
 それぞれが自然体で過ごす愉快な食卓にて……戦場に赴く前の私たちは、大きく結束を高め合ったのだった。
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