魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「とっとと行くしかねえってことだな。シルウィー、背中に乗るか?」
「い、いえっ!」

 私の身体を気遣ったスレイバート様が屈もうとするのを、私は手で制止して、壁に張り付いてしまいそうな背中をどうにか外した。

「大丈夫です。すみません、足手まといになってしまって」
「気にすんな。それに結局のところ、カヤとかいう子を助けられそうなのはお前だけだからな」
「そーさ。あんたがいなけりゃ、俺はここに来ることもなく、領の滅亡を前にどっかで下を向いて蹲ってるだけだったろうよ。――っしゃ、ここが最後の踏ん張り時だぜ」

 ラルフさんは、手のひらを自分の拳でバシッと叩いて気合を入れると、先を駆けだす。

 不思議なほどに魔物の気配がなく、移動だけに集中できそうだが……。

「あそこだ!」

 曲がり角から出て、前方突き辺りに見えるひとつの大きな扉を指差し、ラルフさんが最後の直線を走り切ろうとしたところ――。
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