魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「あ、れれ……」
「――おい! ったく……こりゃ、またしばらくは話せなくなりそーだな」

 急速に眠気が強まって来て、私は体勢を維持できなくなる。地面に倒れ込みそうになったところを、スレイバート様が素早く抱えてくれた。呪いの吸収による長い休眠は、今回も避けられないらしい。

「まあ、いいか。ゆっくり休め」

 もう言葉を発することもできず、私は目蓋も開けられないまま、ゆっくりと頷いた。あのふたりのように、私たちもいつか……特別な絆で結ばれる時が来るのだろうか。

(そんな日が、来るといいな……)

 横抱きにされて当たるスレイバート様の左胸から、穏やかな心音が伝わってくる。それにとても安堵しながら……私も、次目覚めた時に彼が側にいてくれたらいいのにと、ささやかな願いを抱えて幸せな眠りについた。
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