魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 振り向けば、滝のような汗で服を張り付かせたスレイバート様が、不敵な笑みを浮かべている。
 彼も、私たちが黒ローブの女性や呪いに苦闘を強いられていた間、ずっと膨大な数の魔物達をひとりで相手取ってくれた。紛れもなく、ここにいる皆で掴んだ勝利。

「立てるか?」

 そんな疲労を感じさせずに彼は私の腕を掴むと、ゆっくりと引きあげてくれる。

 彼が傍らにいる安心感に、なんだか眠気を感じながら部屋から出ると……瞳に燃えるような色合いをした茜空が飛び込んできて、その美しさに涙が出そうになった。

「これで二つ目だな、お前が守った景色」
「……はい!」

 ――また今日から、この場所で大勢の人たちが暮らしてゆける。

 私だけの功績ではなくとも……そのことをようやく実感できた私は、肩を支えられながら元気よく返事をした後……。
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