魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『た・だ・し……性格はまあ、男勝りってか、破天荒っつーの? 滅茶苦茶だったんだぜ。魔物の群れを滅ぼすのに森ひとつまるごと燃やしちまったり、砦をぶっ壊したこともあったってさ。人死には出なかったからよしとしたみたいだけど、他にも喧嘩っ早いのなんのって、城のやつと揉めたりして親父がよく頭を抱えてたよ』

 残念なことに美点ばかりではなくしっかり欠点もあったそうで、母の取り扱いは中々大変だったようだ。
 それでも、スレイバート様は母に好意を抱いていたらしく、父親と再婚すればいいのにと願っていた時期もあったと楽しそうに話してくれた。仮にそうなっていたら、私とテレサは存在していないのだから、世の中の巡り合わせというのも、中々不思議なものだと感じる。

 まあそのような会話をしながら、彼が憂さ晴らしだと発見した魔物へどんどん魔法をぶちこんでいくのにひやひやしながらここまで来た訳なのだが――。

(今も、呪いで身体が苦しいのかな……)

 その静かな立ち姿にはそんな素振りは見られないが、頭の片隅には、どうしてもあの時見えた呪いの痕が居座り続ける。

 そんなに長い間話したわけじゃないけれど、スレイバート様はそんなに悪い人じゃなさそうだし、テレサのこともある。少しでも彼らを安心させてあげたいとは、思うけれど。
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