魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「おめーらも、悪いけどシルウィーを見守ってやっててくれ。こいつ、無茶ばっかしやがるから」
「言われなくとも。いざとなったら城中の人間を総動員してでも守らせます」
「私も、なにかあったら大声で叫びます!」
「へっ……てめーにはまあ、借りがなくもねえからな。そこまで言うんなら俺がシルウィー様の安全を保障してやるよ」

 彼の言葉に、テレサ、カヤさんと続き、ラルフさんが鼻の下を擦って快諾した……が。

「いや、お前はいい。シルウィーにアホが感染ったら困る」
「あんたにとって俺は害虫かなんかなのか……?」

 やはりラルフさんの決意だけはかたくなに排除され、彼はがくりとその場に崩れ落ちた。それを見届けて満足したように頷くと、スレイバート様は強く私を抱きしめて一言。

「じゃあな」

 そんな短い別れの言葉を告げると、彼は片手を小さく振って、季節外れの北風のように去って行ったのだ。



 それがもう、一週間以上前のことになる――。
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