魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「っはは、正直なやつ。さあ乗れ」
「~~~~~~っ……」

 なにを言っても無駄な気がしてむくれたが、こんな土地勘のないところで置き去りにされても困る。
 仕方なく私はスレイバート様の後ろで白馬のお尻に跨ると、彼の背中にぎゅっとしがみついた。

 なんだかペースを乱されてばかりで悔しいけれど、これも人生経験のひとつ――生きていられることの代償だ。

 そう念じて我慢しようとしていたけれど、ひっついた彼の背中からは男ものの香水の、とんでもなくいい薫りがしてきて。

 暗に「まだまだ育ちが足りねーな」とからかわれているような気がして……胃のむかむかは中々収まってくれないのだった。
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