魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
調薬作業をこちらが続ける間、数度ドアベルが鳴り、メレーナさんがその都度店の方に出てゆく。それを横目で見つつ、何度かめのお客さんの来店時に、任されていた作業が終わってしまった。手持無沙汰となった私は、彼女の仕事に勝手に手を付けるのもなんだと作業場を見回し、あるものを見つける。
(あっ、やっぱりここにもあった)
今では馴染み深くなった紫色の光を宿す魔力の結晶。その隣に使い切られて輝きを失い、沈黙している透明の廃棄魔石たちを見つけた私は、手を触れて束の間祈る。
すると、私の身体に蓄えられた魔力が少しずついくつかの魔石へと移っていった。現在の私の自前の魔力は大したことないけれど、籠の中にあった数個の廃棄魔石を満たすくらいならなんとか……。
「不思議な力だね……」
突然呼びかけられて振り向くと、いつの間に戻ってきたのか、腕を組んだメレーナさんが作業場の戸口に寄りかかっていた。彼女はダークブラウンの巻き毛をかき上げると、もとの席に座り、休憩とばかりにキセルに火を淹れる。そして私を隣の席に手招きすると、ぼんやりとした目で顔を背けて煙を吐き出し始めた。
(あっ、やっぱりここにもあった)
今では馴染み深くなった紫色の光を宿す魔力の結晶。その隣に使い切られて輝きを失い、沈黙している透明の廃棄魔石たちを見つけた私は、手を触れて束の間祈る。
すると、私の身体に蓄えられた魔力が少しずついくつかの魔石へと移っていった。現在の私の自前の魔力は大したことないけれど、籠の中にあった数個の廃棄魔石を満たすくらいならなんとか……。
「不思議な力だね……」
突然呼びかけられて振り向くと、いつの間に戻ってきたのか、腕を組んだメレーナさんが作業場の戸口に寄りかかっていた。彼女はダークブラウンの巻き毛をかき上げると、もとの席に座り、休憩とばかりにキセルに火を淹れる。そして私を隣の席に手招きすると、ぼんやりとした目で顔を背けて煙を吐き出し始めた。