魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「悪いな、たまにしか来てやれなくて。テレサのやつにも、あまり無理をさせるわけにもな」

 そういえば氷の魔法を操る彼と違って、テレサの方は聖属性の魔力を受け継ぎ、怪我を治したりある程度の瘴気の除去が可能と聞いた。
 でも、そんな素晴らしい彼女の魔力にも限りがある。あの城自体が瘴気の発生源となっていることもあり、彼女はあまり気軽に出歩けないのだろう。スレイバート様もなんとも困り顔だ。

「なにをおっしゃいます。領主様がこまめに様子を見に来てくださっていることが、近隣の領民の支えにどれだけなっていることか……」

 すると村長である老人もそう言ってしわの深い顔を笑ませようとしたものの、表情はすぐに曇ってしまう。

「しかし、このまま瘴気の被害が続けば、いずれ我々も……ごほっ、ごほっ」
「大丈夫かよ、無理すんな」
「お心遣い痛み入りますが、聞いていただきたいのです」

 咳き込みながらも、村長は悲しそうに深く俯く。
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