魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……あっ、それ」
「なんだよ?」
「いいえ……」

 それに、スレイバート様のスプーンが入り込み、掬いあげた不格好なジャガイモに、調理した私は自らの不器用さを恥じた。そこでテレサが余計な一言(スパイス)を添加する。

「それ、お姉様が手ずから仕上げたじゃがいもですのよ。よーく味わって食べてくださいね、お兄様」
「あ? 切ったくらいで味が変わってたまりますかっての。ふん、まあでも不格好だからって俺は気にしないぜ。要は中身だ」

 不味い飯だって戦場で慣れてる――と言って彼はひと口でそれを頬張り、なんだかむず痒い気分になった私は股に挟んだ手をもじもじと擦り合わせる。

(でも……どうして私にあんな能力が備わってたんだろう……)

 あの後、スレイバート様に城に運ばれた私は、聖属性魔法を扱うテレサに一応軽く体調を診てもらったのだが……治癒の魔法を使うまでもなく、その後も異常は見られない。
< 93 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop