魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 普通一般人だと濃い瘴気の中では少し呼吸しただけでも体調不良に陥り、長期的にそれが続けば次第に身体が弱って倒れてしまう。

 それを防ぐことができるのは、魔力を元々体内に多く持って生まれた魔法士だけ。彼らは瘴気への耐性がずば抜けており、この城に残ってくれている使用人たちもすべてが魔法を扱える人たちなのだとか。

 そう考えると、確かに母の血を受け継ぎ生まれた時に大量の魔力を保有していた私が瘴気に侵されなかったのは納得できる。けど、かといって大量の瘴気を外部から吸収して平気なんてのは別問題。
 話にも聞いたことがなく、聖属性魔力による浄化などとも、まったく異なる現象。

(なんだったんだろう……あれ)

 そして気になるのは、村で祈った時、深い意識の奥底で見つけた揺り籠のイメージ。

 当然実家で、あれに似たものがあったとかいうわけではなく……。なのに私は、それを思い浮かべた今、妙に心が安らぐのを感じていた。自分でも記憶していない幼い頃に、なにかあったのだろうか。

「――でも、本当に不思議。私も小規模な浄化なら経験がありますけれど、村ごと包むような瘴気を一気に取り払ってしまうことなんてこと、とてもできません。数日間に分けて無理やり行ったとしても、終われば向こう一週間はまともに動けないでしょう。もしや、お姉様が魔法を使えなくなった代償に得た、特別な力だったりするのかしら」
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