俺の痛みに金を払え
大人の階段へ
俺は野球に打ち込んだ。
土日は試合の為遠征することが多くなった。

俺はあまり遠征が好きではなかった。
野球部には
野球弁当というルールがあった。
試合になると長時間になるので

おにぎり二つに
魚のメザシと漬物と言う
ひもじい弁当だったからだ。
これは皆一緒だった。

小学生のおれらには
トチ狂った弁当だったが
誰も文句を言う奴はいない。
ルールはルール。

そして試合にも補欠ででるようになり
俺は野球によりのめり込んだ。

ななちゃんとの交換日記も
いつの日か蔑ろになり
書かなくなって渡さない日々が続いた。

ななちゃんもそれ以上俺に追求はしなくなり
いつの日かノートの存在もわからなくなった。

最後書いた記憶はあるが
ななちゃんに渡した記憶はない。
まぁ、淡い日記。
終わりなくいい思い出の中に
今もいる。

そして、俺達は
5年生へと。

わかっていたが
ななちゃんとお別れだった。
不思議と悲しいより、寂しいだけだった。
ななちゃんは泣いていたが
俺は案外悲しくはなかった。
大人になったらまた、あおうと約束
指切りげんまんをして
ななちゃんから押し花と手紙をもらった。
花言葉や、
色んな言葉があった。

もらえたのは俺だけだった。
学校でななちゃんのお別れ会をし
そのままななちゃんは遠くに引越した。

俺はななちゃんの家に行ったが
誰もいない
何もない殺風景に
一気に悲しくなった。

帰りに
ななちゃんとよく行った
浜屋へ行き
いつもななちゃんが食べてた
お菓子を買った。
俺はスナック系
ななちゃんは甘いの

ななちゃんはいつも自分が買ったのを
俺に半分に分けてくれてた。

無性にななちゃんがいない事を
受け止めて
涙が止まらなかった。

5年生へなると
一気に感情も複雑になる
今迄ない気持ちや
心境。

ある意味
この瞬間から俺の人生は
ガラスが砕けた様に
闇の中へと葬られていったと思う。
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