明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「…………祠が壊れたのはそういうわけだ」
「あぁん、白玉ぁー!」
へにゃ、と笑った澪が白玉に頬ずりする。飼い主の封印をきちんと解いた化け猫は、得意そうにヒゲをヒクヒクさせた。
「いい子ね白玉! あ、でもええと、桐吾さん?」
「ああ」
「私の祠はともかく、白玉の封印を解いてくれたのはあなただわ。ありがとう」
澪は姿勢を正し、きちんと一礼した。久世の者だろうが感謝するべきはしなければ。
(それに、冬悟さんに似ているんだもの。なんだか憎めない)
許婚だった冬悟は隣村の名主の息子。親の決めた話ではあったが互いに想い合っていた。それが仕事に出かけた折、街道で物盗りに殺されたのだ。
その後、新たに久世との結婚が決められてしまった。でも澪は冬悟の喪に服すと言い張り祝言を引き延ばす。しかししびれを切らした久世の息子が澪に手を触れようとし、威嚇した白玉が壁に叩きつけられ、澪はすべてが嫌になって池に――。
「はあぁぁ……」
澪はため息とともにしゃがみ込んだ。