明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
(祟り神だなんて……私、いつの間にそんなふうに祀り上げられていたんだろう?)
祠に封じられていた事にすらびっくりしている澪だ。久世を祟れと願われても力になれる気がしない。桐吾が不審な顔になるのが申し訳なかった。
「……しかし、伝承では祟ったと」
「私自身は……成仏できないなと思っていただけ。久世に取られたお屋敷を見て泣いちゃったり、森沢の家が仕切っていた商売がどうなったか見に行ったりはしたけど」
「まあそれは祟り神というより幽霊か」
「あ、私と仲良しだった女中が折檻されそうになった時は怒ったわ」
「怒って、どうなった」
「……あたりの物がバン、て揺れて……自分でびっくりして逃げちゃったの。あの後どうなったんだろう」
澪はいたずらを自白したみたいに申し訳なさそうにする。見た感じまったく祟り神っぽくない澪だが、物を揺らす程度のことはできたらしい。そりゃ当時の久世家は嫌がって調伏するだろう。
「それだけでもすごいんじゃないか?」
「そ、そう? でも今はできるかどうか。だからごめんなさい、お力になれないと思うわ」
祟ってほしいという依頼そのものがとんでもないのに、澪は丁寧にお断りをいれた。