明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
澪の力
サラッと白玉が口にしたのはたいへんな内容だった。桐吾の顔色が変わる。
「――何?」
「消える、と言った」
「え――私、いなくなるの」
澪も青ざめた。そんなこと聞いていない。白玉は猫耳をピクピクさせ、ため息をついた。
「我らは神気で成り立っておるからな。気を取り込み、保ち、みずからの力として巡らせていかねば存在そのものが薄れてしまう」
淡々と白玉は言った。もしかして知っていてずっと黙っていたのだろうか。驚いて声もない澪にかわり、桐吾は問い詰めた。
「おまえの神気の源は〈怒り〉だと言ったな。澪の場合それは、〈愛〉――ということでいいのか」
「さよう」
「今日それを得たというのは」
「あらためて思い出したであろう。冬悟の心、村人らの気持ち。そして澪が村を愛していたこと」
――白玉の言葉にみちびかれ、澪は昼間のことを思い返した。
ふるさとは変わっていたけれど、確かに澪が暮らした土地なのは間違いがなく――その記憶でポゥ、と胸があたたかくなる。
「それ。今のそれよな」
「え。白玉にはわかるの」
「今はもう我の方が格が高いゆえなあ。澪は祟り神としてもお子ちゃまよ」
ククク、と白玉は笑った。
「――何?」
「消える、と言った」
「え――私、いなくなるの」
澪も青ざめた。そんなこと聞いていない。白玉は猫耳をピクピクさせ、ため息をついた。
「我らは神気で成り立っておるからな。気を取り込み、保ち、みずからの力として巡らせていかねば存在そのものが薄れてしまう」
淡々と白玉は言った。もしかして知っていてずっと黙っていたのだろうか。驚いて声もない澪にかわり、桐吾は問い詰めた。
「おまえの神気の源は〈怒り〉だと言ったな。澪の場合それは、〈愛〉――ということでいいのか」
「さよう」
「今日それを得たというのは」
「あらためて思い出したであろう。冬悟の心、村人らの気持ち。そして澪が村を愛していたこと」
――白玉の言葉にみちびかれ、澪は昼間のことを思い返した。
ふるさとは変わっていたけれど、確かに澪が暮らした土地なのは間違いがなく――その記憶でポゥ、と胸があたたかくなる。
「それ。今のそれよな」
「え。白玉にはわかるの」
「今はもう我の方が格が高いゆえなあ。澪は祟り神としてもお子ちゃまよ」
ククク、と白玉は笑った。