明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
(やだ、はしたない)
初対面の人の前で空腹を訴えた自分の体が恨めしい。澪はほんのり顔を赤らめた。うつむいたら腕の中の白猫が悲しげにする。
「にゃお」
「なあに白玉」
「みゅー、みゅー」
何か言いたそうな声は澪がよく知るものだ。
「まあ。白玉もお腹すいたの?」
「みゃう」
「――どういうことだ、君たちは腹がへるのか」
桐吾は頭痛を起こしたような顔でうめいた。
祟り神だの化け猫なんてもの、あの世の存在だろうに空腹とはまた。たしかに体があるようには見えるが――。
「待て。もしかして祠に戻れないとか言うのか?」
「え」
澪はぼう然と立ち尽くした。
(戻る? ていうか私、どうやって出て来たの?)
すると白玉が身じろぎし、澪の腕から地面に飛び降りた。