明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします

  ✿

「澪の力というのは、知っている場所へしか使えないのか?」

 風呂上がりの桐吾にいきなり尋ねられ、澪はきょとんとした。桐吾が心配事を抱えているみたいだと思っていたが、それに関係あるのだろうか。
 なんだか悩みながら帰宅した桐吾。気になって澪はようすをうかがっていた。長風呂を注意するぐらいに。
 帰るなり白玉が邪気をペロペロ舐めていたが、根本の悩みを取り去ることはできないはずだ。澪にできることがあるなら嬉しい。

「私の……消えて、出てくるアレ?」
「そうだ」
「うーんと……知らないところへは行けないんじゃないかしら?」

 中空を見つめて澪は考えた。
 祟り神というか、幽霊っぽい澪のその挙動は元々が〈愛〉。気になる場所にかけた想いをたどり、そこにあらわれる。

「そうか……」

 桐吾はやや残念そうにした。そんな顔をされると澪は悲しい。

「……私、力になれませんか?」
「ああいや、気にするな。ちょっと伯父のことを調べているだけだ」
「伯父さま? あ……桐吾さんが好きになれないと言ってた方」

 最初に「祟れ」と言われた相手。そうと気づいて澪は寂しくなった。怒りと向き合うようなことを桐吾はしているのか。それは邪気もたまるだろう。
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