明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
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「澪の力というのは、知っている場所へしか使えないのか?」
風呂上がりの桐吾にいきなり尋ねられ、澪はきょとんとした。桐吾が心配事を抱えているみたいだと思っていたが、それに関係あるのだろうか。
なんだか悩みながら帰宅した桐吾。気になって澪はようすをうかがっていた。長風呂を注意するぐらいに。
帰るなり白玉が邪気をペロペロ舐めていたが、根本の悩みを取り去ることはできないはずだ。澪にできることがあるなら嬉しい。
「私の……消えて、出てくるアレ?」
「そうだ」
「うーんと……知らないところへは行けないんじゃないかしら?」
中空を見つめて澪は考えた。
祟り神というか、幽霊っぽい澪のその挙動は元々が〈愛〉。気になる場所にかけた想いをたどり、そこにあらわれる。
「そうか……」
桐吾はやや残念そうにした。そんな顔をされると澪は悲しい。
「……私、力になれませんか?」
「ああいや、気にするな。ちょっと伯父のことを調べているだけだ」
「伯父さま? あ……桐吾さんが好きになれないと言ってた方」
最初に「祟れ」と言われた相手。そうと気づいて澪は寂しくなった。怒りと向き合うようなことを桐吾はしているのか。それは邪気もたまるだろう。