明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「お、奥さまですか!? それは」
「私的なことだからな。意見は控えてくれ」
突き放した言い方の桐吾に華蓮が黙る。だが澪も不安になった。
(私なんて祟り神とか言われてた身だし。やっぱり変に思われてる?)
「桐吾さん……」
「澪は気にするな」
おずおずと声を掛ける澪に近づき、桐吾は濡れた髪にそっとふれた。こうなったら仲を見せつけるしかない。だが頭をポンポンとされて澪はギクシャクした。
「ええと……」
「これは俺の部下なんだ。澪の着替えを見つくろってもらった――まったく、おまえが身ひとつで家を飛び出したりするからだぞ? ちゃんと俺が話を通しに行くまで待てと言ったろう」
「あの。ごめんなさい桐吾さん……」
わけがわからないが、嘘に話を合わせなければ。その一心で澪は桐吾を見上げた。パッと見はいかにも桐吾を頼りきっている風だ。
「すみません、私はこれで!」
華蓮はガバリと一礼し、身をひるがえした。エレベーターに飛び乗る。
(――こんな場面を見ることになるなんて! あの冷徹部長、久世さんが結婚? しかも相手は若くて可愛くて頼りなさげな女の子! 湯上がりの彼シャツ……じゃなくてスウェットですって!?)
マンションから駆け出しながら、華蓮の動悸はなかなかおさまらなかった。
「私的なことだからな。意見は控えてくれ」
突き放した言い方の桐吾に華蓮が黙る。だが澪も不安になった。
(私なんて祟り神とか言われてた身だし。やっぱり変に思われてる?)
「桐吾さん……」
「澪は気にするな」
おずおずと声を掛ける澪に近づき、桐吾は濡れた髪にそっとふれた。こうなったら仲を見せつけるしかない。だが頭をポンポンとされて澪はギクシャクした。
「ええと……」
「これは俺の部下なんだ。澪の着替えを見つくろってもらった――まったく、おまえが身ひとつで家を飛び出したりするからだぞ? ちゃんと俺が話を通しに行くまで待てと言ったろう」
「あの。ごめんなさい桐吾さん……」
わけがわからないが、嘘に話を合わせなければ。その一心で澪は桐吾を見上げた。パッと見はいかにも桐吾を頼りきっている風だ。
「すみません、私はこれで!」
華蓮はガバリと一礼し、身をひるがえした。エレベーターに飛び乗る。
(――こんな場面を見ることになるなんて! あの冷徹部長、久世さんが結婚? しかも相手は若くて可愛くて頼りなさげな女の子! 湯上がりの彼シャツ……じゃなくてスウェットですって!?)
マンションから駆け出しながら、華蓮の動悸はなかなかおさまらなかった。