明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
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 桐吾が会議に拘束されている隙に、華蓮は呼び出しを受けた。
 その相手は久世正親(くぜ まさちか)。久世建設の常務取締役で、桐吾の伯父だ。どっしり大きなデスクの後ろに座る正親は、太り気味の頬に潰された細い目で華蓮をにらみつけた。

「――桐吾の女性関係について噂が立っているらしいな」
「はい……」

 耳が早い、と華蓮は唇をかんだ。仕方のないことだが。
 桐吾は経営者一族の、いわば御曹司。見た目もいい。そのため無愛想ながら女性社員の熱視線を集めているのだ。自宅に女の影があるとなれば悲鳴も上がる。それが伯父の耳にまで届いたらしい。

「通話の後ろで声が聞こえた、というだけですので……」
「その女性とやら、君は把握しておらんのか」
「……申し訳ありません」

 華蓮はしらを切った。本当のことを報告する気には、どうしてもなれなかった。それは個人的な気持ちのせい。

(久世部長のことを、私は……)

 仕事と恋慕。華蓮はずっとその板ばさみになっている。

「君がクビになっていないのは、あいつを掌握するためだとわかっているな?」
「もちろんです」

 神妙に目を伏せる。
 華蓮は三年ほど前に大きなミスをした。それを不問に付すかわりに課されたのが、桐吾の監視という任務。秘書もどきとして地域開発事業部第二部へ異動することだったのだ。

「SAKURAホールディングスとの見合いを控えているというのに……桐吾は何をしとるんだ!」

 正親はイライラと華蓮を叱責し、不機嫌を隠そうともしなかった。

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