明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「ふん。我は十歳なのでな。人の姿では子どもだが、猫ならとうに大人よ」
「はあ?」
「猫だった頃の我は大モテだった……子も孫もひ孫もたくさんおるぞ」

 胸を張る白玉に澪は目をみはった。そういえば、と思い出す。村にはたくさん猫がいた。屋敷の庭で産まれる子猫もいたが、あれは白玉の子や孫たちだったのかもしれない。

「白玉ったら……ひいお爺ちゃんなのね」
「う、いやいやいや。こんなに愛らしい我をつかまえて何を。ひどいぞ、澪」
「いきなり可愛いこぶるのか、おまえ」
「桐吾は黙れ――! おっと」

 うろたえて怒鳴り返した白玉の頭にピョコンと猫耳が立つ。

「きゃ!」
「うわっ!」

 猫耳少年なんてものを目撃し、二人は叫んだ。だが澪はすぐに手を伸ばす。

「か、可愛い……っ! 本当に白玉のお耳のままだわ。なのにおしゃべりできるのね。ああん、嬉しいっ!」

 澪は愛おしそうにムギュと白玉を抱きしめた。
 その胸から白玉は横を向き、桐吾に挑戦的な視線を投げる。あっけに取られていた桐吾だが、そのオッドアイには――ものすごくムカついた。


< 49 / 177 >

この作品をシェア

pagetop