明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
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 華蓮の暗躍など知らない桐吾は帰宅後、風呂をピカピカに洗っていた。

(女性の体はあたためた方がいいと聞くしな……)

 いつもシャワーばかりだったが澪に気をつかってみたのだ。湯船につかるのを喜んでくれるだろうか。

「お湯が出るだけでもすごいと思ったのに……二人だけのためにお風呂をためるなんて、ぜいたくで罰が当たりそう」

 のぞきに来た澪が微笑んだ。その後ろから顔を出した白玉は、嫌そうに「にー!」と鳴く。猫のままだ。しばらく神力をためるのだとか。人の姿になるには力を使うらしい。
 手を拭いた桐吾はポン、と澪の頭をなでた。

「掃除完了だ」
「私も下ごしらえできました!」

 澪が担当していたのは野菜の処理だった。この後は協力して料理する予定になっている。レトルトや冷食ばかりでは飽きるし、澪にとっては食べ慣れないこってりした味も多かろう。
 だから食材も調味料も買い込んできた。好きに調理できるようになれば澪も嬉しいのではないか? それに桐吾は澪の手料理を食べられるかもしれない。いちおう下心はあった。

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