明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
引き取られなかった二歳下の妹は、父方の親族のもとで育った。だが生活に余裕はなかったらしい。
そうと知った桐吾は、自分には必要ないアルバイトに明け暮れ妹の進学費用を捻出した。それでも自分の学業成績は落とすわけにいかない。祖父の期待を裏切れば久世から放り出されるだろうから。
「妹はちゃんと就職して暮らしていけるようになった。結婚を考える男もできて――」
「わあ、よかった!」
「だがそこで、伯父が横やりを入れた。久世の血すじなんだから良縁を紹介してやろう、と」
つまりは政略結婚だ。桐吾と会っている妹を見て、こんなに美人なら使えると思ったようだ。ずっと援助もしなかったくせに何をと思ったが、伯父は本気だった。勝手に妹の写真をばらまいて、反応があったために引っこみがつかなくなったらしい。
そして妹と婚約した男の仕事に圧力をかけ、別れさせようとしたのだ。
「クズだろう?」
「……それで妹さんは?」
「相手ともどもさっさと転職して遠方に逃げたよ。おかげさまでなかなか会えない。縁談を潰したんで、伯父は大恥をかかされたと激怒していたな。自業自得だが――そのせいで今回、俺の見合いにこだわってるのかもしれん」
そこまで話して桐吾は立ち上がった。炊飯器が炊き上がりをしらせたからだ。
「よし、秋刀魚を焼こう。それと味噌を溶き入れるんだったな」
「桐吾さん……久世家を好きじゃないのはわかったけど」
祟るほどのことなのか。そう言いかけて、澪は口をつぐんだ。
人の気持ちに踏み込むべきではない。表面的な事実の羅列からは当人の苦しみは見えてこない。
そうと知った桐吾は、自分には必要ないアルバイトに明け暮れ妹の進学費用を捻出した。それでも自分の学業成績は落とすわけにいかない。祖父の期待を裏切れば久世から放り出されるだろうから。
「妹はちゃんと就職して暮らしていけるようになった。結婚を考える男もできて――」
「わあ、よかった!」
「だがそこで、伯父が横やりを入れた。久世の血すじなんだから良縁を紹介してやろう、と」
つまりは政略結婚だ。桐吾と会っている妹を見て、こんなに美人なら使えると思ったようだ。ずっと援助もしなかったくせに何をと思ったが、伯父は本気だった。勝手に妹の写真をばらまいて、反応があったために引っこみがつかなくなったらしい。
そして妹と婚約した男の仕事に圧力をかけ、別れさせようとしたのだ。
「クズだろう?」
「……それで妹さんは?」
「相手ともどもさっさと転職して遠方に逃げたよ。おかげさまでなかなか会えない。縁談を潰したんで、伯父は大恥をかかされたと激怒していたな。自業自得だが――そのせいで今回、俺の見合いにこだわってるのかもしれん」
そこまで話して桐吾は立ち上がった。炊飯器が炊き上がりをしらせたからだ。
「よし、秋刀魚を焼こう。それと味噌を溶き入れるんだったな」
「桐吾さん……久世家を好きじゃないのはわかったけど」
祟るほどのことなのか。そう言いかけて、澪は口をつぐんだ。
人の気持ちに踏み込むべきではない。表面的な事実の羅列からは当人の苦しみは見えてこない。