明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「――は? 祟る?」
桐吾の言う意味がわからずに、澪は小首をかしげた。その困惑にかまわず桐吾は続ける。
「澪は祟り神だろう? その力を見込んでの願いだ」
「祟り神だなんて……私よくわからない」
「いや。君は久世の家を祟り、調伏され封じられた祟り神のはず」
「久世――」
その名前に澪の胸が凍りついた。
森沢の土地と商売を乗っ取った家が久世だ。結婚しろと言われた久世の跡取り息子の下卑た顔を思い出して怖気が立つ。
金に物を言わせる強引な縁組だった。森沢の娘である澪と久世の息子が結婚すれば、乗っ取りなどではないと冷たく笑われた。その話は結局、澪の自死でご破算になったけれど。
「そう――そうだったかも。祟り神――」
死んだ澪は、幽霊になったのだと思う。久世のものにされた屋敷にあらわれては夜な夜な人々を恐怖におとしいれ――あげく調伏された。
封じられるまでのことを思い出した澪の目が揺れる。その瞳を真っ直ぐ見据え、桐吾はあおった。
「久世家は今でも景気よく生き延びている。森沢家はなくなったのに、腹が立つよな? 今度は逆に久世を潰してやれ」
桐吾の言う意味がわからずに、澪は小首をかしげた。その困惑にかまわず桐吾は続ける。
「澪は祟り神だろう? その力を見込んでの願いだ」
「祟り神だなんて……私よくわからない」
「いや。君は久世の家を祟り、調伏され封じられた祟り神のはず」
「久世――」
その名前に澪の胸が凍りついた。
森沢の土地と商売を乗っ取った家が久世だ。結婚しろと言われた久世の跡取り息子の下卑た顔を思い出して怖気が立つ。
金に物を言わせる強引な縁組だった。森沢の娘である澪と久世の息子が結婚すれば、乗っ取りなどではないと冷たく笑われた。その話は結局、澪の自死でご破算になったけれど。
「そう――そうだったかも。祟り神――」
死んだ澪は、幽霊になったのだと思う。久世のものにされた屋敷にあらわれては夜な夜な人々を恐怖におとしいれ――あげく調伏された。
封じられるまでのことを思い出した澪の目が揺れる。その瞳を真っ直ぐ見据え、桐吾はあおった。
「久世家は今でも景気よく生き延びている。森沢家はなくなったのに、腹が立つよな? 今度は逆に久世を潰してやれ」