明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
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約束の十分前、三人はホテルに足を踏み入れた。
「わ……!」
これまでに澪が訪れた駅やレストラン、ショッピングモールとはまた違う豪奢な雰囲気にのまれてしまう。吹き抜けのロビーにはシャンデリアが煌めいていた。
「二人はそっちのソファにいてくれ」
あたりを見回しながら桐吾が指示した。桐吾は一人離れて待機するつもりなのだ。白玉が澪の手をきゅ、と握る。
「僕がいるから、平気だよ」
小学生モードでにっこりし、手を引いてくれる白玉。微笑み返した澪が歩き出した時、カツカツとヒールの音高く近づく女性がいた。
「お待ちしていましたわ!」
深い紅のスーツとフリル襟のシャツを着こなすその人は、真っ直ぐに桐吾を見つめる。
栗色に染めたワンレングスのロングヘアがファサ、となびいた。浮かべた余裕の笑み。堂々たる歩き方。
配る視線はもう澪のことも捉えていた。去るタイミングを失い澪は立ち尽くす。
――これが桜山守向日葵。たぶん。もう来ていたのか。
「悪役令嬢……?」
白玉がつぶやくいた。
髪型こそ縦ロールではないが、「おーっほっほっほ!」という幻聴が聞こえた気がしたのだ。
約束の十分前、三人はホテルに足を踏み入れた。
「わ……!」
これまでに澪が訪れた駅やレストラン、ショッピングモールとはまた違う豪奢な雰囲気にのまれてしまう。吹き抜けのロビーにはシャンデリアが煌めいていた。
「二人はそっちのソファにいてくれ」
あたりを見回しながら桐吾が指示した。桐吾は一人離れて待機するつもりなのだ。白玉が澪の手をきゅ、と握る。
「僕がいるから、平気だよ」
小学生モードでにっこりし、手を引いてくれる白玉。微笑み返した澪が歩き出した時、カツカツとヒールの音高く近づく女性がいた。
「お待ちしていましたわ!」
深い紅のスーツとフリル襟のシャツを着こなすその人は、真っ直ぐに桐吾を見つめる。
栗色に染めたワンレングスのロングヘアがファサ、となびいた。浮かべた余裕の笑み。堂々たる歩き方。
配る視線はもう澪のことも捉えていた。去るタイミングを失い澪は立ち尽くす。
――これが桜山守向日葵。たぶん。もう来ていたのか。
「悪役令嬢……?」
白玉がつぶやくいた。
髪型こそ縦ロールではないが、「おーっほっほっほ!」という幻聴が聞こえた気がしたのだ。