明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
憎いその名前
名乗られて、澪は息をのんだ。ぎくしゃくと問い直す。
「あなたも久世の人……?」
「そうだ」
澪はまじまじと桐吾を見つめた。
その顔立ちは、亡くなった澪の許婚・水無月冬悟に良く似ている。なのに憎い久世の血すじの人間なのか。
「だから俺のことも祟ればいい――だがまずは、伯父を追い落としたいんだ。力を貸してくれ」
「でもそんな……」
「どうした、できないのか? せっかく復活したっていうのに。封じられていた恨みも合わせて晴らしたらどうだ」
言われて澪は壊れた祠を振り向いた。
これが〈澪姫〉を封じる仕掛けなのだろう。祠が崩れると同時にその術が解けたのだ。
「あなたが祠を?」
「……正確に言えば違う。その猫が体当たりした」
「え、白玉?」
「みゃお!」
自慢げに猫が鳴いた。澪は目をぱちくりする――――。