明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
 梅酒ソーダのグラスを渡され、澪の瞳が輝いた。

「きれい」

 薄い琥珀色の中をシュワシュワ昇っていく泡。匂いもほんのり甘かった。
 桐吾は自分にビールを注ぎ、グラスをかかげる。

「澪と俺の共同作戦成功に、乾杯」
「あ――はい、かんぱい」

 カチン。
 照れながら合わせたグラス。ひと口飲んで、炭酸の刺激に澪は目をぱちくりする。
 
「無理ならやめろよ」
「ううん……もうちょっと飲んでみたい」

 はじける泡が楽しかったのだ。
 食事に手をつけながら、ちょこ、ちょこと飲む澪。とりあえず、すぐひっくり返るようなことはなさそうだ。
 澪が甘いものに目がないのは桐吾も承知。だから梅酒を買っておいた。こんな時にはちょうどいい。今日はアルコールの力を借りたいのだが、桐吾ひとり飲むのも申し訳ないので。

「――澪の許婚だった人は、水無月冬悟というんだな」

 その話をしたかったのだ。
< 85 / 177 >

この作品をシェア

pagetop