拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「……きみは戦士ではない」
「ええ、その通りです。でも、ロサイダー辺境伯夫人となるのだから、誓いを立ててもいいのではないかと」
フィーヌはそう言うと、ホークを真っすぐに見上げた。
(どういうつもりだ?)
目を眇めたホークはさぞかし威圧感があっただろう。しかし、フィーヌは決してホークから目を逸らそうとしない。
「俺を真っすぐ睨み据えると、きみは見た目に似合わず度胸があるな」
「褒め言葉だと受け取ります」
フィーヌはツンと澄ました態度で言い放ったが、ホークはそれが強がりであることをすぐに見破った。よく見ると、膝の上に置かれた手が震えている。
誓約は古い呪術の一種だ。一度誓いを立てれば、それを破ることはできない。破れば死んだ方がましだと思えるような苦痛に見舞われる。
(ここまでして何を誓わせたいんだ?)
思わず笑いが漏れる。やはり、フィーヌはそこらの女とは一味も二味も違う、面白い女だと思った。
「いいだろう。妻からの初めてのお願いだ」
ホークはそう言うと、寝室の壁に飾られた剣を手に取る。
「これはロサイダー辺境伯家に代々伝わる聖剣だ。この地を訪れた若き兵士が女神から賜ったと言い伝えられている」
差し出された大剣を見て、フィーヌは明らかに驚いていた。こんなに大きな剣を見るのは初めてだったのだろう。
(何を誓うかな……)
フィーヌが何を望んでいるかと考えて、すぐに思いついたのは彼女の元婚約者のような裏切りをしないことだと予想した。元よりあんなクズのようなことをするつもりはなかったが、それを言葉にするだけで安心するなら悪くないと思う。
「ええ、その通りです。でも、ロサイダー辺境伯夫人となるのだから、誓いを立ててもいいのではないかと」
フィーヌはそう言うと、ホークを真っすぐに見上げた。
(どういうつもりだ?)
目を眇めたホークはさぞかし威圧感があっただろう。しかし、フィーヌは決してホークから目を逸らそうとしない。
「俺を真っすぐ睨み据えると、きみは見た目に似合わず度胸があるな」
「褒め言葉だと受け取ります」
フィーヌはツンと澄ました態度で言い放ったが、ホークはそれが強がりであることをすぐに見破った。よく見ると、膝の上に置かれた手が震えている。
誓約は古い呪術の一種だ。一度誓いを立てれば、それを破ることはできない。破れば死んだ方がましだと思えるような苦痛に見舞われる。
(ここまでして何を誓わせたいんだ?)
思わず笑いが漏れる。やはり、フィーヌはそこらの女とは一味も二味も違う、面白い女だと思った。
「いいだろう。妻からの初めてのお願いだ」
ホークはそう言うと、寝室の壁に飾られた剣を手に取る。
「これはロサイダー辺境伯家に代々伝わる聖剣だ。この地を訪れた若き兵士が女神から賜ったと言い伝えられている」
差し出された大剣を見て、フィーヌは明らかに驚いていた。こんなに大きな剣を見るのは初めてだったのだろう。
(何を誓うかな……)
フィーヌが何を望んでいるかと考えて、すぐに思いついたのは彼女の元婚約者のような裏切りをしないことだと予想した。元よりあんなクズのようなことをするつもりはなかったが、それを言葉にするだけで安心するなら悪くないと思う。