拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく

「では、これにて誓約は成立だ。俺はフィーヌに辺境伯にふさわしい待遇を用意し、きみはロサイダー領のために尽力する。そのかわり、きみは俺を裏切らず、俺はきみを二年間孕ませない」
「孕ませないって……」

 フィーヌは赤面する。

「きみがそう望んだんだろう?」
 
 こんな言葉ひとつで赤くなる様は先ほどまでの強がっている姿とは対照的だ。
 フォークはフィーヌの顎を掬い、キスをする。その最中、彼女がホークの胸を押し返して体を離そうともがいていることには気づいたが、気づかないふりをした。
 ホークからすると、赤子のような抵抗だ。

「な、何をなさるのですか! 二年間は子供を作らないって──」
「ああ、作らない」
「じゃあ、なんで──」
「子供っていうのは、ここに俺の子種を注がなければできない。知らなかったのか? それに、きみに触れないという約束はしていない」

 フォークは指先でフィーヌの下腹部をなぞる。

「なっ!」

 真っ赤になったフィーヌを見つめる。
 初心な反応から判断するに、男を知らないことは明らかだった。
 きっと、夫婦生活には具体的にどんな行為をするのかその詳細までは知らないのあろう。

 キスで終わりにするつもりだったのに、ちょっとした悪戯心が湧いてくる。なにも最後までしなくとも、男女の睦事は十分楽しめる。

 ホークはフィーヌを押し倒すと、シーツに縫い付けたのだった。
 
 

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