拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 
 元婚約者のバナージはフィーヌを蔑み、現夫のホークには愛人がいる。

(二年なんて、きっとあっと言う間よ)
 
 二年経ったら離縁して、自由が欲しい。
 だから、今はやれるだけのことはやろうと思った。

 
 ◇ ◇ ◇


 フィーヌがヴァルの力を借りて土壌改良をしてから二週間が過ぎていた。
  
 この日、執務室で仕事をしていたホークは、届いたばかりの手紙を見て眉根を寄せた。

「ダイナー公爵家から? 今さらなんの用だ?」

 婚約破棄した元婚約者の嫁ぎ先に手紙を送って来るとは、ずいぶんと厚顔無恥な男だ。

(もうこっちは結婚しているから、よりを戻したいというのは考えにくいな。今更祝福の手紙を送って来るとも思えない)
 
 一体内容はなんなのか、悶々としているとドタバタと足音が近づいてきた。

「ホーク、大変だ!」

 駆け込んできたのはカールだった。
 大急ぎで走って来たからか、息が乱れて額にはうっすらと汗が光る。
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