拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
「きみに石集めの趣味があるとは知らなかったな」
「これはただの石ではございません」

 からかう様に言われ、フィーヌは口元を尖らせる。

「へえ。魔法の石かな?」
「残念ながら魔法の石ではありませんが、宝の卵です」
「宝の卵?」
「はい。神恵を使って、ロサイダー領の領地内にある鉱脈を調べました。これらは、ロサイダー領で採掘可能な鉱石です」

 その瞬間、ホークの眼差しが鋭いものになる。

「なるほど。それは確かに宝の卵だな。詳しく聞こうか」
「はい。先ほどわたくしは神恵を使って土の精霊と話し、ロサイダー領に鉱山はないかと聞いたんです。すると彼は、いくつかの鉱山があり、採れる鉱石はこれらだと教えてくれました」
「ほう」

 ホークはフィーヌが持ってきた石を順番に摘まみ上げては眺める。そして、そのうちのひとつをじっと見つめた。

「鉱石に詳しい訳ではないが、これは鉄鉱石ではないか?」
「鉄鉱石ですか?」

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