拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 鉄鉱石は近年の産業の発達で多くが消費されており、金よりも価値があるとすらされている。それに、もし鉄鉱石が領地内で採れれば、ロサイダー領の戦士たちが持つ武具や防具を安く、早く作ることができるのでその恩恵は計り知れない。

「ほかにも色々あるな。これは一体何の鉱石なんだ」
「わたくしにもわからなくって。閣下に調べていただきたいのです。お願いできますでしょうか?」
「もちろんだ。早急に取り掛かろう」

 ホークはしっかりと頷いた。



 ホークの動きは早く、その日の夜にはロサイダー領で鉱石について詳しい人を捜し出してなんの鉱石なのか調査依頼をかけたと教えられた。

「鉄鉱石以外にも、価値があるものがあるといいのですが」
「そうだな」
 
 ホークは頷く。

「ただ、注意が必要だな。もしロサイダー領でつぎつぎに鉱脈が見つかったとなれば、他の家門が黙っていないだろう」
「そうですね……」

 フィーヌは嘆息する。
 他の家門とは即ち、ロサイダー辺境伯家以外の、ヴィットーレの有力貴族たちのことだ。

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